「免許は返したけれど、このまま一人暮らしで大丈夫?」
「施設に入るのはまだ早い気もするけど、いつ動けばいいのか分からない…」
そんなモヤモヤをスッキリさせるための、タイミング判断と実務的チェックリストを1本にまとめました。

親父が免許返すって言い出したんだけどさ…「施設だけはイヤだ!」って全力で拒否されてて。正直、どう話を切り出せばいいか分からないんだよね…。

大丈夫だよパパさん。免許返納=即施設じゃないんだ。ただ、“これからの暮らし方を考えるタイミング”ではあるから、今日の記事を一緒に読みながら整理していこう。
このページで分かること
- 親の免許返納が「施設・老人ホーム検討のベストタイミング」と言える理由
- 一人暮らしの限界サイン・家族の限界サインが分かる8つのチェック項目
- 親の状態別:「どのタイプの施設・高齢者住宅を選ぶべきか」
- 免許返納後〜入居までを迷わず進める15ステップのチェックリスト
- まず何から始めればいいか?今日からできる3つ+1つの行動
なぜ「免許返納」が施設・老人ホーム検討のベストタイミングなのか

警察庁の資料によると、75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数は、75歳未満と比較して高い傾向にあります。そのため、医師や家族の勧めで「運転を卒業」する人は年々増えています。
免許を返納すると、こんな変化が起こりがちです。
- 買い物や通院など「移動」のハードルが一気に上がる
- 外出が減り、筋力低下・フレイル・認知機能低下が進みやすくなる
- 子ども世代の送迎・付き添い負担が増える
つまり、免許返納は
「運転の卒業」だけでなく、
これから何年も続く“暮らし方”を見直すターニングポイント
でもあります。
このタイミングで、
- 在宅生活をサービス・支援で支えるのか
- 高齢者向け住宅や老人ホームへの住み替えも視野に入れるのか
を、親子で話し始めることが、その後の10年を左右します。

正直、「施設の話を出した瞬間に機嫌が悪くなる」のが怖くて、つい先延ばしにしちゃうんだよね…。

分かります。でも「いきなり施設どう?」じゃなくて、「今の暮らし、何が一番心配?」から話すのがコツですね。この記事では、その“心配ポイント”をチェックできるようにしてあるから、一緒に確認していこう。
今すぐ入居を検討すべきか分かる「8つのチェック」

まずは、今の段階で「施設・老人ホーム入居を真剣に検討すべきか」をざっくり判断するチェックです。
(□に ✓ を入れながら読んでみてください)
A-1 転倒やケガが増えている
- □ 家の中での転倒・つまずきが増えた
- □ あざ・打撲・擦り傷が目立つ
- □ 杖や手すりがないと家の中の移動も不安定
→ 在宅一人暮らしの限界サインのひとつです。
A-2 物忘れ・認知機能の変化が目立つ
- □ 同じ話を何度も繰り返す
- □ 通院日や約束をよく忘れる
- □ 電気・ガス・水道の支払いを放置しがち
- □ 電話で話がかみ合わないことが増えた
→ 認知症の入り口〜進行のサインで、徘徊・火の不始末・詐欺被害などのリスクが上がります。
A-3 身だしなみ・生活意欲の低下
- □ 長年きちんとしていた人が、急に身だしなみに無頓着になった
- □ 入浴を面倒がり、何日も同じ服で過ごす
- □ 趣味や楽しみごとに興味を示さなくなった
→ うつ状態や認知機能低下、フレイルの進行が隠れていることがあります。
A-4 食事内容・体重の変化
- □ 冷蔵庫の中がスカスカ or 同じ総菜・パンばかり
- □ 自炊した形跡がほぼない
- □ ここ数か月で急に痩せた/むくんで急に太った
→ 栄養状態の悪化は、転倒・免疫低下・認知機能悪化に直結します。
A-5 家の中や郵便物の乱れ
- □ ゴミ出しができず、家にゴミ袋がたまっている
- □ 郵便受けに請求書・お知らせが溜まりっぱなし
- □ 庭や玄関まわりが、明らかに荒れたまま
→ 生活全体の管理能力が落ちているサインです。
A-6 薬・通院の自己管理ができなくなっている
- □ 薬を飲み忘れる・二重に飲んでしまうことが増えた
- □ 通院日を忘れて受診できないことがある
- □ 医師の説明を理解できていない様子がある
→ 疾患の悪化・入院リスクが高まり、施設入居を視野に入れるタイミングと考えられます。
A-7 家族の介護負担が限界に近い
- □ 夜間の見守り・トイレ介助で、同居家族がほとんど眠れていない
- □ 介護のストレスで、仕事に支障が出始めている
- □ 「いつ倒れてもおかしくない」と本人以外が感じている
→ 家族の限界=入居検討のサインです。
無理を続けると、虐待・共倒れにつながりかねません。
A-8 医師・専門職から「一人暮らしは危険」と言われた
- □ かかりつけ医から「そろそろ一人暮らしは心配」と言われた
- □ 地域包括支援センター・民生委員などから生活状況について指摘を受けた
→ 専門職からの客観的な指摘は、「住まいの見直しが必要です」という強めのサインと受け取りましょう。

……あれ? 思ってたよりチェック入っちゃったんだけど……。

そうなったら、「うちだけダメ」ってことじゃなくて、「そろそろ次の一手を考え始めるタイミング」ってことです。ここからは、“状態別にどんな住まいがあるのか”を一緒に見ていくよ。
判定の目安
- 0〜1個だけ当てはまる
→ すぐ入居とは限りませんが、要介護認定の申請と情報収集は今すぐスタートが安心。
- 2〜3個当てはまる
→ 在宅サービス+高齢者住宅/老人ホームを具体的に検討し始める段階です。
- 4個以上当てはまる
→ できるだけ早く、医師・地域包括支援センター・ケアマネと相談しながら、施設入居を前提に動く段階と考えた方が安全です。
親の状態別「選ぶべき施設・高齢者住宅」

ここでは、状態別に「どんなタイプの施設・住まい」を検討すべきか整理します。
B-1 まだ比較的元気(要支援〜要介護1程度)の場合
キーワード:
- 日常生活はほぼ自立している
- ただし転倒・持病が心配
- 免許返納で外出頻度が減りそう
この場合は、「住まい+見守り」がセットになったタイプが候補です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- バリアフリー構造の賃貸住宅
- 「安否確認(状況把握)」と「生活相談サービス」が必須
- 介護が必要になれば、訪問介護など外部サービスを組み合わせて利用
住宅型有料老人ホーム
- 食事や掃除・洗濯などの生活支援付き
- 介護サービスは、別途訪問介護やデイサービスを利用する形が一般的
B-2 介護が必要になり始めた(要介護1〜2くらい)の場合
キーワード:
- 入浴やトイレ、着替えなどに部分的な介助が必要
- 認知症の初期〜中等度が疑われる
- 一人暮らし+家族の見守りだけでは不安
この場合は、介護サービスがセットで提供される施設が候補になります。
介護付き有料老人ホーム
- 24時間の介護体制(特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合)
- 食事・入浴・排泄などの日常生活全般をサポート
- 多くの施設で認知症の方も受け入れ可能
B-3 重度の介護・認知症・医療ニーズがある場合
キーワード:
- 要介護3以上
- ほぼ全ての生活動作に介助が必要
- 認知症の症状が強い・徘徊がある
- 酸素・点滴・褥瘡(床ずれ)など、医療と介護の両方が必要
ここでは、介護保険施設や医療との連携が強い施設が中心になります。
特別養護老人ホーム(特養)
- 原則、要介護3以上が入所対象
※認知症の症状が重い、家族の介護力が著しく不足しているなど、やむを得ない事情がある場合は、要介護1・2でも特例的に入所が認められることがあります。 - 公的色が強く、民間施設より費用が抑えられることが多い
介護老人保健施設(老健)
- 「病院と自宅の中間」的な位置づけ
- リハビリを通じて在宅復帰を目指す中期滞在型(終の棲家ではない)
介護医療院
- 医療と介護が長期に必要な人向け
- 日常の療養管理・看取りまでを想定した施設
認知症グループホーム
- 少人数の家庭的な環境で共同生活(要支援2から利用可能)
- 認知症ケアに特化したサポート体制

「施設」ってひとことで言ってたけど、こんなに種類があるんだね…。うちの親父の場合は、まだ自分のことはできるけど、転倒が心配で……。

それなら、「サ高住+訪問介護」「住宅型有料+デイサービス」みたいに、“住まい+サービス”の組み合わせを考えるパターンもありですよ。いきなり「最後まで全部お任せの施設」を選ぶんじゃなくて、“今の状態に合った一歩目”を選べばOK。
介護保険施設と民間施設の違い(ざっくり整理)

介護保険施設(公的色の強い施設)
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護医療院
特徴
- 要介護認定が前提
- 介護サービス費の自己負担は原則1〜3割
- これに加えて「居住費・食費・日常生活費」がかかる
- 低所得者向けには、食費・居住費を軽減する「補足給付」などの公的支援もある
民間施設・高齢者住宅
- 介護付き・住宅型・健康型の有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) など
特徴
- 費用やサービスは施設ごとに差が大きい
- 入居一時金:0〜数百万円と幅広い
- 月額費用:
地域・設備・サービス内容により差はあるが、一般的には15〜30万円程度が目安とされることが多い
免許返納後〜入居までの「15ステップ」チェックリスト

ここからは、実際にどう動けばいいかを時系列で整理します。
このまま印刷して、親子で「進捗チェック表」として使ってもOKです。
フェーズA:土台づくり(4項目)
- 要介護認定を申請する
市区町村の窓口で申請。申請から結果が出るまでは全国平均でおよそ1〜1.5か月程度かかります(自治体により差あり)。早めの申請が安心です。
- 資金計画をざっくり立てる
年金額・預貯金・不動産を把握。「初期費用」「月額いくらまでなら無理なく払えるか」を共有。
- 入居候補のエリアを決め
今の自宅近くか、子どもの家の近くか。生活環境もチェック。
- 希望条件を整理する
必要な介護・医療体制、個室か多床室か、レクリエーションの充実度など。
💡 入居費用の足しに!乗らない車や実家の不用品を高く売るコツ

フェーズB:施設探し(3項目)
- 条件に合う施設をリストアップする
情報源:介護施設検索サイト(LIFULL介護、みんなの介護など)、地域包括支援センター、ケアマネジャー。
- 資料・パンフレットを取り寄せる
料金表、サービス内容、職員体制などを確認。
- 候補を3〜5件程度に絞る
「費用」「場所」「介護・医療」「雰囲気」で比較。
フェーズC:見学〜申込み(3項目)
- 施設見学の予約を取る
できれば複数施設を見学して比較する。
- 家族(できればご本人も)で見学する
職員の挨拶、施設の清潔さ、入居者の表情などをチェック。
- 仮申込み・入居希望登録をする
特養などは待機者が多いため、早めの申し込みが重要。
フェーズD:契約〜入居(5項目)
- 最終的な入居先を決定する
- 重要事項説明を受ける(契約内容を細かく確認)
- 契約に必要な書類・保証人・費用を準備する
- 正式に契約を締結する
- 荷物の整理・引っ越し・住所変更などを行い、入居

正直、15ステップって聞くだけで「うっ…」ってなったけど、こうやってフェーズ分けしてくれると、「今どこまで進んでるか」が分かりやすいね。

そうなんだ。全部を一気にやるんじゃなくて、チェックリストを「今日はここまで」って少しずつ進めればOK。
免許返納後に「今日からできること」

地域包括支援センターに相談予約を入れる
地域包括支援センターは、高齢者の総合相談窓口です。
介護サービス、施設情報、認知症相談などを無料で受け付けています。
まずは電話をして、「こんな状況なのですが相談に乗ってもらえますか?」と一言伝えましょう。
要介護認定の申請を済ませる
「まだそんなに介護はいらないし…」と思っていても、申請だけは先に済ませるのがおすすめです。
認定が出ていれば、いざという時にすぐサービスを利用できます。
在宅で試せる支援サービスを1つ導入してみる
いきなり施設を決めなくても、デイサービスや配食、見守りサービスなどを一歩だけ試してみることで、「在宅でいけるか、施設が必要か」の判断基準が見えてきます。
▼ 離れて暮らす親の「安否確認」が心配な方はこちら ▼

▼ 毎日の食事や買い物が負担になってきた方はこちら ▼

運転経歴証明書と各種割引制度を確認する
免許返納後に発行できる運転経歴証明書は、身分証になるだけでなく、バス・タクシーの割引や商業施設での優待など、様々な特典があります。
自治体のHPなどで確認しておきましょう。
▼ タクシー10%割引も!知らなきゃ損する特典の詳細はこちら ▼

よくある質問(FAQ)
Q1. 親が免許を返納したら、すぐ施設に入れたほうがいい?
A. 免許返納 = 即入居、ではありません。
ただし、生活スタイルを見直す重要なサインです。
要介護認定の申請や情報収集は、このタイミングで早めに動いておく方が安全です。
Q2. 親が「施設は絶対イヤだ」と言って話が進みません…
A. いきなり「施設」の話を切り出すと、拒否反応が出やすいです。
おすすめの順番は以下の通りです。
- 「安全・安心に暮らすには何が必要か」という共通ゴールを確認する。
- まずは在宅サービスを増やしてみる。
- 「もしもっと介護が必要になったらどうするか」という将来の選択肢として、
施設見学を提案する。
Q3. どの施設がいいのか、正直まったく決められません…
A. 家族だけで完璧な答えを出す必要はありません。
地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護施設の相談窓口など、プロの第三者に整理してもらうだけでも道筋が見えます。
まとめ:免許返納は「話し合いのスタートライン」

最後にポイントを整理します。
- 親の免許返納は、これからの10年の暮らし方・住まい方を一緒に考えるチャンス
- 一人暮らしの限界サイン・家族の限界サインが複数あるなら、施設・老人ホーム入居を真剣に検討するタイミング
- 親の状態に合わせて、「サ高住(元気)」「有料老人ホーム(要介護)」「特養(重度)」などを候補にする
- 15ステップのチェックリストに沿って、一歩ずつ進めていけばOK
そして何より大切なのは、
「もっと早く動いていればよかった」と後悔しないように、
まだ動ける今のうちから、親子で少しずつ話し始めること。

「施設」って言葉だけ聞くと身構えちゃうけど、「親のこれからの10年を一緒にデザインする作業」って考えると、ちょっと気持ちが楽になったかも。

そうだね。パパさん一人で抱え込まずに、この記事をきっかけに「親子+専門家」で一緒に考えていけばいいんだよ。少しずつ、一歩ずつ進んでいこう!


