
よく考えたらうちの実家、玄関まで行くのに『階段』が5段くらいあるんだよ。それに、もしマンションに引っ越したら、廊下に置いていいのかな?充電はどうするんだ?

その問題、実は購入前の一番の悩みどころなんです!一軒家の階段も大変ですが、マンションや団地には『共有部分のルール』や『エレベーターのサイズ』という別の壁があります。でも諦めないでください。環境ごとに、論理的な解決策(ソリューション)は必ずありますよ!
シニアカーやWHILLの導入で、最後に立ちはだかる物理的な壁が「保管場所」です。
「買ったはいいけど、家に入らなかった」「管理組合に注意された」なんてことにならないよう、事前にシミュレーションしておくことが不可欠です。
この記事では、一軒家の「階段・段差」対策から、マンション・団地特有の「ルールと電源」問題まで、住環境別の現実的な解決策を徹底解説します。
【一軒家編】階段を「スロープ」で乗り越える条件と計算式

玄関ポーチまで階段がある場合、スロープ(斜路)を設置して登るのが理想的ですが、物理的なスペースの条件があります。
バリアフリー法の基準と「10度の壁」
まず、WHILLやシニアカーが安全に登れる角度(登坂能力)は、
一般的に10度(勾配約17.6%)が限界です。
これ以上の急坂は登れないか、転倒の危険があります。
一方で、バリアフリー法が推奨する建築基準のスロープ勾配は1/12(約4.8度)です。
つまり、「最低でも10度以下、理想は5度以下」になるようなスロープの長さが必要になります。
必要なスロープの長さを計算してみよう
段差の高さに対して、どれくらいの「奥行き(距離)」が必要かを計算します。
- 【最低ライン】高さの6倍の長さ(角度約10度)
シニアカーが登れるギリギリの角度。介助者が押すのはキツイ。
- 【推奨ライン】高さの12倍の長さ(角度約5度)
バリアフリー法基準。自走でも安心。
例:階段2段(高さ30cm)の場合
- 最低でも:
30cm × 6 = 1.8m のスロープが必要 - 理想は:
30cm × 12 = 3.6m のスロープが必要

まずはメジャーを持って、玄関から道路までの距離を測ってみましょう。「高さ×6倍」の距離が確保できなければ、急坂すぎて危険なのでスロープ設置はNGです。
【一軒家編】段差解消機(リフト)で「機械で上げる」方法

スペースはないけれど、どうしても雨に濡れない玄関ポーチまで上げたい場合は、屋外用の「段差解消機(リフト)」を使います。
介護保険でレンタルが可能
「要介護2以上」などの条件を満たせば、「移動用リフト」として介護保険のレンタル対象になります(月額2,000円〜5,000円程度)。
注意点:最大の問題は「重さ(耐荷重)」
一般的な家庭用リフトの耐荷重は100kg〜240kg程度のものが多いですが、機種選びには注意が必要です。
- WHILL Model C2の場合
本体約52kg + 体重60kg = 112kg
→ 耐荷重150kgのリフトなら余裕でOK。
- スズキ セニアカーの場合
本体約100kg + 体重60kg = 160kg
→ 耐荷重100kg〜150kgのリフトでは重量オーバー!
200kg以上対応の大型リフトが必要になります。
【一軒家・団地】階段の手前で「屋外保管」する現実解

スロープもリフトも難しい場合、これが最も現実的な解決策です。
階段の下(カーポートの隅や駐輪場)に保管します。
必須アイテム:カバーとロック
屋外に置く以上、雨風と盗難への対策は必須です。
- ボディカバー:
車種専用、または厚手のバイク用カバー(数千円〜)を必ずかけます。雨ざらしは電装系の故障原因になります。 - ワイヤーロック:
自転車やバイク用のチェーンロックで、車輪と柱(カーポートの支柱など)を繋ぎ、盗難を防止します。
【マンション・団地編】エレベーターと共有部分の「3つの壁」

集合住宅の場合、物理的なスペース以上に「管理規約」や「法律」が壁になります。
壁1:廊下(共用部分)には置けない
マンションの廊下やアルコーブ(玄関前のくぼみ)は、消防法上の「避難経路」にあたります。
そのため、原則として私物(シニアカー含む)を置くことは消防法および管理規約で禁止されています。
「玄関の中(土間)」に入れるか、マンション指定の「駐輪場・バイク置き場」を契約する必要があります。
※管理規約で例外的に認められている場合もあるので、必ず管理組合に確認しましょう。
壁2:エレベーターに乗るか?(サイズ問題)
玄関の中に入れるためには、エレベーターに乗せる必要があります。
- JIS規格の4人乗りエレベーター:
奥行きが狭く、大型のシニアカー(全長120cm近い)は乗らないことが多いです。
- WHILLの強み:
その場で回転できるModel C2や、コンパクトなModel Fなら、狭いエレベーターでも乗り降り可能です。
壁3:駐輪場の「電源なし」問題
「じゃあ駐輪場に置こう」と思っても、ほとんどの駐輪場には「個人のためのコンセント」がありません。
ここで「どうやって充電するか」が最大の問題になります。
【重要】機種選びの分岐点となる「充電問題」

屋外保管やマンション駐輪場の場合、選ぶべき機種が限定されます。
A. バッテリーが「外せる」機種の場合(マンション向き)
- 対象:
WHILL Model C2 / Model F - 運用:
本体は駐輪場や玄関の外に置いたまま、バッテリー(約2.7kg)だけを抜いて、家の中で充電できます。 - 判定:
マンション・団地に最適! 電源のない駐輪場でも運用可能です。
B. バッテリーが「外せない(重い)」機種の場合
- 対象:
スズキ セニアカー / WHILL Model S / Model R - 運用:
車体に直接プラグを挿す必要があります。バッテリー(鉛電池)は重すぎて毎回外すのは非現実的です。 - 判定:
一軒家(屋外電源あり)向き。
マンションの場合、管理組合に相談して電源を使わせてもらう等の特別な許可がない限り、導入は非常に困難です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 階段に板を置いてスロープ代わりにしてもいいですか?
A. 絶対にやめてください。
板が外れたり、割れたりして転落する事故が多発しており非常に危険です。
必ず専用の滑り止め加工がされたスロープを使用し、固定してください。
Q2. マンションの駐輪場に置く場合、料金はかかりますか?
A. 管理組合の規定によります。
「自転車」扱いか「原付(バイク)」扱いかによって料金が異なる場合があります。
シニアカーのサイズを伝えて確認しましょう。
Q3. 玄関の中にWHILLを入れたいですが、タイヤの汚れが気になります。
A. タイヤカバーやマットを活用しましょう。
室内用のタイヤカバーを履かせるか、玄関から保管場所までの動線にマットを敷くことで、床の汚れを防げます。
まとめ:環境に合わせて「置き場所」から機種を選ぼう
「欲しい機種を買ってから置き場所を考える」のではなく、「住環境に合わせて機種を選ぶ」のが失敗しないコツです。
| 住環境 | おすすめの解決策 | 推奨モデル |
|---|---|---|
| 一軒家(段差なし) | 玄関内へそのままイン | 全モデルOK |
| 一軒家(階段あり) | カーポート等で屋外保管(電源確保) | セニアカー / WHILL S / R |
| マンション(玄関内) | エレベーターに乗せて玄関保管 | WHILL Model C2 / F |
| マンション(駐輪場) | 駐輪場に置いてバッテリー持ち帰り | WHILL Model C2 / F |

なるほど…。うちは団地の3階でエレベーターもないから、1階の階段下のスペースに置くしかなさそうだ。電源なんてないから、バッテリーが外せる『WHILL』じゃないと詰むところだったよ。

危なかったですね!バッテリーが外せるかどうかは、集合住宅では死活問題です。まずは管理組合に「階段下に置いていいか」を確認して、OKならWHILL一択で進めましょう!
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